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金融翻訳
金融の翻訳は、その性格上、絶対的な厳密さが求められる分野です。金融分野の翻訳では、金融用語・論理について正しく理解していることが求められます。正しい金融・経済知識に基づいて原文を正確に解釈していること、適切な訳語を選択することが重要です。当然のことながら、翻訳の際には「通常の金融・経済の論理に照らし合わせてつじつまが合う文章になっているか」を常に意識することは、金融翻訳では特に重要になります。金融用語を辞書で引いて当てはめただけでは、よい翻訳どころか正しい翻訳にさえならないのは他の専門分野と同様に金融翻訳の特徴です。
訳文には、当該分野独特の表現、用語の選択が求められます。口語で使うような柔らかい表現は避ける必要があります。当社に金融翻訳をご依頼になる金融機関などでは通常、調査レポートやプレゼンテーション資料にビジネス上説得力のある、格調高い文章をお求めになっています。文章の硬さ、柔らかさの適当な加減を把握し、日本語として自然な文章であることが必要となります。
金融分野で翻訳の需要が多い文書としては、個人投資家や機関投資家を最終読者とした各種の調査レポートなどがあげられます。投資家はこうしたレポートを投資判断の材料にしていますので、原文に忠実な翻訳をすることが大事になります。訳者の先入観などから拡大解釈をし、原文の意図するところから離れることは絶対に避けなくてはなりません。ただし、直訳と正確な翻訳とは似て非なるもので、正確性を第一に、翻訳であることを感じさせない、読みやすく自然な日本語にすることを心掛ける必要があります。
また当然のことですが、金融・経済の調査レポートなどでは、数字の誤りが命取りになります。また、「債権」と「債券」、「確率」と「確立」などの表記にも十分注意する必要があります。政府機関、議会、政党、政治家などの固有名詞は、正式な日本語名を確認する必要があります。
決算
決算とは、一定期間の収入・支出を計算し、利益又は損失(損益)を算出することです。企業だけでなく国・地方公共団体においても決算を行うことが、法律で定められています。多くの日本企業では、企業会計は、日本の公的セクションにおける決算時期に合わせ、4月から翌年3月までの1年間を一会計期間として損益を算出する3月期決算を採用しています。企業によっては、1月から12月まで(暦年)の1年間を一期とする12月期決算もあります。外国の企業では12月期決算が多く見られます。
企業会計においては、単に損益を計算するだけではなく、種々の財務諸表を作成し、詳細な情報開示が行われます。通常、上場会社では、四半期決算として、3か月単位の財務諸表が作成されます。非上場企業では、四半期決算もしくは半年ごとに中間決算として中間財務諸表が作成されます。
作成された財務諸表は、監査法人や公認会計士による監査を受けたのち、原則として株主総会で最終的に承認されます。
決算手続の完了には1か月〜2か月強必要となります。
決算短信
株式を証券取引所に上場している企業が、証券取引所の適時開示ルールに則り決算発表時に作成・提出する、共通形式の決算速報です。決算短信は証券取引所の自主規制に基づく開示であるのに対し、決算公告は会社法の、有価証券報告書は金融商品取引法の法定開示です。
決算短信は、上場会社の貸借対照表・損益計算書をはじめとした決算情報が最も早く開示される資料であり、決算情報が投資判断上最も重要な会社情報の一つとされていることから、投資者・マスメディアからの注目度が高いものです。
決算説明会
上場企業が主にアナリストや機関投資家に対して企業の業績や計画、戦略などを説明する会。年に2〜4回行われます。企業のトップが説明することが通常です。
半期報告書
金融商品取引法で規定されている半期毎の企業内容の外部への開示資料。
四半期報告書
金融商品取引法で規定されている四半期毎の企業内容の外部への開示資料。
株主総会
株式会社の機関の一つであり、株主を構成員とし、会社の基本的な方針や重要な事項を決定します。株主は実質的な会社の所有者であり、株主総会は会社の最高機関です。なお、株主は株主総会を通しておよそ会社に関することであればいかなる事項についても決議できるという株主総会の万能機関性の理念は、所有と経営の分離などの現実もあり、アメリカの州法やドイツ法、フランス法においては一定の範囲で株主総会が決定できない事項が経営者側に留保されています。
国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards、IFRSs、IFRS)
国際会計基準審議会(IASB)によって設定される会計基準です。国際財務報告基準(IFRS)とは、世界で最も広く採用されている会計基準のことです。
近年、全世界の決算書を比較しやすくしようとする動き(国際的な会計コンバージェンス)が進んでいます。日本はこれまで独自の会計基準を持って財務報告を行ってきましたが、日本の会計基準による財務諸表と、IFRS基準による財務諸表には差異があるものでした。
金融庁は2008年9月17日に「国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards:IFRS)」を日本で導入する前提で本格検討に入ったと正式表明しました。米国やカナダ、韓国においてもIFRSを適用する方向を明らかにしており、すでに2005年に先駆けてこの基準を導入した欧州も2009年には欧州以外の地域の企業に対して「IFRSまたは同等の基準」を強制することから、日本もこれに追随する形となりました。
このような大きな流れから、日本企業もIFRSへの対応が求められています。
金融庁によれば、国際的な財務・事業活動を行っている上場企業の連結財務諸表に2010年3月期からIFRSを適用できるようにし、2012年を目途に上場企業の連結財務諸表への強制適用の是非を判断する、としています。
財務諸表(financial statements)
企業が利害関係者に対して一定期間の経営成績や財務状態等を明らかにするために複式簿記に基づき作成される書類です。一般的には決算書と呼ばれることが多いです。
貸借対照表
財務諸表の1つ。バランスシート(Balance sheet、略称B/S)とも呼ばれます。企業のある一定時点における資産、負債、純資産の状態を表すために、その企業の株主、債権者その他利害関係者に経営状態に関する情報を提供します。複式簿記と呼ばれる手法により損益計算書などと同時に作成されます。
損益計算書
財務諸表の1つ。P/L と略称されることがあります。企業のある一定期間における収益と費用の状態を表すために、その企業の株主や債権者などに経営成績に関する情報を提供します。複式簿記と呼ばれる手法により貸借対照表などと同時に作成されます。
投資信託
多数の投資家により販売会社を通じて出資・拠出されてプールされた資金を、資産運用の専門家(アセット・マネージャー)が、株式や債券、金融派生商品などの金融資産、あるいは不動産などに投資するよう指図し、運用成果を投資家に分配する金融商品です。運用による利益・損失は投資家に帰属します。
有価証券報告書
有価証券報告書は、金融商品取引法で規定されている、事業年度ごとに作成する企業内容の外部への開示資料です。略して「有報(ゆうほう)」と呼ばれることもあります。
目論見書
有価証券の募集または売出しのためにその相手方に提供する文書で、当該有価証券の発行者の事業その他の事項に関する説明を記載したものです。 目論見書発行の対象となる有価証券の代表的なものとしては株式、社債、投資信託などがあげられます。国債・地方債などには目論見書は発行されません。投資信託などについては、基本的な情報を記載する交付目論見書と、詳細な情報を記載する請求目論見書の2種類が発行され、後者は投資家の請求があったときに交付すればよいものとなります。
デューディリジェンス(Due diligence)
投資やM&Aなどの取引に際して行われる、対象企業や不動産・金融商品などの資産の調査活動のことです。文章では「DD」と略すこともあります。 法務、財務、ビジネス、人事、環境といったさまざまな観点から調査します。不動産に対しては、土地建物の状況を把握する不動産状況調査、権利関係を把握する法的調査に加えてマーケティングを把握する経済調査を行い、対象敷地の鑑定評価の前提条件とします。 契約締結前に行われたデュー・ディリジェンスの結果は、契約内容に反映され、発見した問題点に応じて価格を決め、また、表明・保証対象とするなどの対応をします。
不動産投資
利益を得る目的で不動産事業に資金を投下することです。 具体的には投資した不動産を人に貸して、定期的に賃料という利益を受け取るインカムゲインと、 その不動産を購入した金額以上でのキャピタルゲインを期待します。 翻訳に関連する書類としては不動産鑑定書、不動産評価書、不動産登記簿謄本などがあげられます。
REIT
REIT(Real Estate Investment Trust、リート)とは不動産投資信託をいいます。日本版REIT(J-REIT)のことを単にREITと指す場合があります。
内部統制報告書
内部統制報告書は、財務報告の信頼性を目的として、内部統制の構築・運用状況を経営者自らが評価する報告書であり、公認会計士または監査法人の監査証明を受ける必要があります。 2008年4月より金融商品取引法に基づき、内部統制報告制度が全上場企業を対象に導入されました。経営者は正しい決算書を作成するための手続きやルールを明文化し、毎期点検して評価結果を示した内部統制報告書を作成、公認会計士が適正かどうか監査し、報告書は投資家に開示されます。社内体制の整備を経営者に義務付け、粉飾などを防ぐのがこの制度の狙いです。 内部統制関連の翻訳は、近年お客様からのニーズが非常に高まっている分野です。翻訳に関連する書類としては、業務記述書、フローチャート、リスク評価、ERP、会計システムなどがあげられます。
SOX法
米国企業改革法、サーベンス・オクスリー法(略称SOX法)と呼ばれ、日本では企業改革法と意訳されています。企業会計の不正に対処するために制定され、内容は投資家保護のため、財務報告プロセスの厳格化と規制の法制化を目的としています。 米国企業改革法を受けて、日本でも金融庁を中心とした日本版企業改革法(日本版SOX法)を制定する方向となりました。現在のところ、新たに制定された会社法と金融商品取引法(証券取引法の改正)に盛り込まれた内部統制に関する規程がそれに該当するといわれています。 この法律は米国に本拠を置く企業だけではなく、ニューヨーク証券取引所やNASDAQといった米国の証券市場に上場している外国企業をも対象としているため、これらの市場に上場している日本企業は適用の対応を行っています。 翻訳に関連する書類としてはSOX法関連書類などがあげられます。
コーポレート・ガバナンス (corporate governance)
企業の経営を監視・規律すること、又はその仕組みをいいます。企業統治(きぎょうとうち)とも訳されます。 1960年代のアメリカで、企業の非倫理的・非人道的な行動を抑止すべきであるという文脈で用いられるようになり、次第に粉飾決算など投資家から見た企業不祥事を防ぐためにどうするかという意味でも使われるようになりました。1990年代以降は、ヨーロッパ諸国や日本でも、多数の企業不祥事が発覚するとともに、経済的な停滞が続く中、コーポレート・ガバナンスが注目されるようになりました。 翻訳に関連する書類としてはコーポレート・ガバナンス報告書などがあげられます。
コンプライアンス
コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことです。企業におけるコンプライアンスについては、ビジネスコンプライアンスという場合もあります。法令違反による信頼の失墜や、それを原因として法律の厳罰化や規制の強化が事業の存続に大きな影響を与えた事例が繰り返されているため、特に企業活動における法令違反を防ぐという観点からよく使われるようになりました。 翻訳に関連する書類としてはコンプライアンス・マニュアルなどがあげられます。
CSR (Corporate Social Responsibility)
企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、消費者、投資家等、及び社会全体などのあらゆる利害関係者からの要求に対して適切な意思決定をすることを指します。 最も基本的なCSR活動として挙げられるのは、企業活動について、利害関係者に対して説明責任を果たすことであるとされています。環境(対社会)、労働安全衛生・人権(対従業員)、雇用創出(対地域)、品質(対消費者)、取引先への配慮(対顧客・外注)など、幅広い分野に渡ります。
インベスター・リレーションズ (IR:Investor Relations)
企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動をいいます。日本では「投資家向け広報」とも訳されますが、IRという頭字語も定着しています。 企業にとって投資家が必要とする情報をすばやく的確に提供し、株主と良好な関係を作っていく必要性は大きくなっています。IR活動は、どういう情報を、どれだけ、いつ開示するのか、すべて企業側に任されており、基本的に自由な活動です。これを活用すれば、良好な企業イメージ作りに貢献する余地は大きいと見られています。実際、IR優良企業は株価も高い場合が多く、この点でまさに市場に受け入れられる企業になっています。IRの具体的な活動には、ホームページ上での情報開示、各種説明会やミーティングの開催、工場や施設見学会、年次報告書や投資家向け広報誌の刊行などがあります。
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